根管治療をしたのに噛むと痛い
根管治療を受けた後に痛みが生じると、心配になりますよね。患者さんの中には、食事もできないほどの激痛に苦しむ方もいらっしゃいます。
痛くなる原因は多岐にわたりますが、処置後の一時的な痛みでしたら、薬の服用で改善できることもあります。しかし根管内の洗浄が不十分で、汚れが残ってしまうことで、痛むケースもあるのです。
歯の根(特に奥歯)の形は、非常に複雑なつくりになっています。
歯の形態によっては、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使っても、汚れが取り切れないこともあります。根管の形態に詳しい歯科医師でも、失敗する可能性はゼロだと言いきれません。
しかし、根管治療が終わった後でも、適切な処置を受ければ改善できる可能性は十分あります。
歯の根の形は複雑
1cm程度の根の中にある神経の管は、非常に複雑に入り組んでいます。幅が細くて狭い部分や、大きく曲がっている部分もあり、その中全てを完璧にきれいにすることは、不可能だとされています。
特に再治療の場合は、細菌が奥まで入っていることが多いため、治療の成功率はさらに下がってしまいます。また、治療を何度も行うことで、本来の管の形が壊されてしまうことも、完治できない要因の一つだと言われています。
ラバーダムの重要性
ラバーダムとは、薄いゴム製のシートのことです。そこに小さな穴を開け、治療する歯だけを露出させることで、唾液の侵入・感染を防いでいきます。
唾液1滴(1mL)だけでも、実は1億〜10億もの細菌が含まれています。根管内をきれいにしても唾液が入ってしまうと、また細菌感染を起こしてしまいます。
せっかく根管治療を受けて細菌を減らしているのに、再度細菌に感染するのは非常にもったいないことです。そのため当院では、ラバーダムを使用し、根管治療中での細菌感染を防いでいます。
また、根管治療で使用する消毒薬は非常に強力です。粘膜にかかると火傷してしまう恐れがあるため、ラバーダムで舌や粘膜を保護する必要があります。そして、唇や頬、舌に器具が当たってしまうのを、防ぐためでもあります。
ラバーダムを装着することで、粘膜を多くの刺激から守ることができます。
当院では保険診療の治療でも、全ての患者さんにラバーダムを装着させていただきます。
根管治療後に痛みが起こる
3つの原因
歯の根に器具が触れたことによる痛み
根の先に器具が当たると、刺激によって痛みが生じやすくなります。
鈍く重い感じや、噛んだ時の違和感があると、器具による痛みである可能性が考えられます。とはいえ、この痛みは1週間ほどで落ち着いてくるので、そこまで心配する必要はありません。
殺菌薬を入れたことによる痛み
根の中に殺菌薬を詰めた時、細菌が死んだことによって、痛みが生じることもあります。
この痛みも1週間ほどで落ち着いてくるので、ご安心ください。
虫歯の再発・破損による痛み
虫歯が再発したり歯が破損したりすると、痛むようになります。
根管治療または外科的な治療を受けていただく必要があるので、放置せずにご相談ください。
根管治療後のズキズキした痛みは
いつまで続く?
根管治療後の痛みは、3日~1週間で緩和されることがほとんどです。歯周組織の炎症や膿によって痛む場合でも、炎症が治ったり膿を出しきると、短期間で痛みは落ち着きます。
治療後には痛み止めを処方しますので、我慢せずに服用してください。1週間以上経っても痛みが引かない、1週間経過していないが痛みが激しい場合は、放置せずにお申し出ください。
根管治療後の痛む場合の対処法
先述したように治療後に痛む場合は、処方された痛み止めを飲んでください。
また必要に応じて、抗生剤を処方することもあります。
とはいえ痛み止めには、痛みを和らげる効果しかありません。治療効果はないので、できるだけ早いうちに、治療をスタートしていきましょう。