隙間のある前歯(すきっぱ)は
どんな歯並び?
「すきっ歯」とは、歯と歯の間に隙間ができている状態です。正式には空隙歯列(くうげきしれつ)といいます。見た目の問題だけでなく、「歯と歯の間に食べ物が詰まる」「虫歯や歯周病のリスクが高い」「空気が漏れてきれいに発音できない」などのトラブルも起こりやすくなります。
前歯に隙間ができてしまう原因
歯が少ない(先天性欠損)
基本的に永久歯は、全部で28本あります(親知らずは含まれていません)。しかし中には、数本足りない方もいます。これは、10人に1人割合で出現する症状です。
歯が小さい(矮小歯)
顎に対して歯が小さいと、歯列に隙間が生じやすくなります。
また、歯の形が円錐状になってしまうケースもあります。
歯が多い(過剰歯)
通常の本数よりも余分に歯が生えてしまう状態です。正常に生えてこないことが多く、歯並びが悪くなる原因にもなります。
上唇小帯の発達
上唇小帯(じょうしんしょうたい)とは、上唇の裏にあるスジのことです。この上唇小帯が長いままでいることによって、すきっ歯が引き起こされるケースもあります。
親知らずの影響
歯が生えてくるのに必要なスペースが不足している時に親知らずが生えてくると、前歯に悪影響を及ぼします。その結果、すきっ歯になるケースもあります。
舌癖
舌で歯を押す癖があると前歯に力がかかり、前方に傾いてしまいます。
特に、舌の縁がデコボコしている(歯に舌を押しあてた跡)が残っている方は、舌癖に気を付ける必要があります。
大きい・隙間のある前歯の治療法
ダイレクトボンディング
歯科用の白いプラスチックを歯の表面に着け、隙間をなくしていく方法です。
治療は30分~1時間程度で完了します。「変色しやすい」というデメリットはありますが、「歯を削る必要がない」というメリットが得られます。
ラミネートべニア
歯の表面を少し削り、そこに薄いセラミックを貼り付けて隙間をなくしていく方法です。
「すぐにすきっ歯が改善できる」というメリットがある一方、「歯を削らないといけない」というデメリットもあります。
近年は接着剤の質が高くなっているため、従来のものよりもセラミックが剥がれにくくなっています。
セラミック矯正
歯全体を削った後に、被せ物を装着して隙間をなくしていく方法です。
歯の向きなどを治すことも可能ですが、その場合は、歯を多く削らないといけません。
ワイヤー矯正
歯の表側または裏側にブラケットを取り付け、そこにワイヤーを通して少しずつ隙間をなくしていく方法です。
軽度の方から重度の方まで、多くの患者さんに対応できる矯正方法です。しかし噛み合わせに問題があると、裏側にブラケットを着けることができなくなります。
マウスピース矯正
透明なマウスピースを装着し、すきっ歯を治す方法です。全体の歯並びを改善させることも可能です。
また、夜間の歯ぎしりが原因ですきっ歯になった場合は、夜にマウスピースを装着する治療法をお勧めします。装着したまま寝ることで、歯を摩擦から守ることができます。
歯の隙間を作らない!予防法
舌癖の改善トレーニングを受ける
舌で歯を押したり、舌を歯間に差し込んだりすると、前歯だけでなく歯列全体が乱れてしまいます。
このような癖がある方は、歯科医院でトレーニングを受けることを推奨します。
子どもだけでなく成人でも、舌癖の改善トレーニングは歯並びの悪化を予防するのに効果的です。
歯ぎしりを改善させる
歯ぎしりは無意識に行っている方が多いため、自力で治すのは非常に難しいです。
また、歯ぎしりはすきっ歯を引き起こすだけでなく、歯並びの乱れや歯のすり減り、破損の原因にもなります。
就寝時のマウスピース(ナイトガード)の装着が有効ですが、歯ぎしりはストレスが原因で癖になっている可能性もあります。
趣味やスポーツなどで、ストレス発散することも大切です。
親知らずを抜く
親知らずで歯並びが乱れている場合や、口腔トラブルが起こっている場合は、医師と相談して抜歯することをお勧めします。
欠損歯がある場合は、速やかに治療を
受ける
歯が抜けた状態を放置すると、周りの歯がそのスペースへ動くようになるため、歯並びが乱れやすくなります。虫歯や歯周病、交通事故などで歯が抜けてしまった方は、インプラントや義歯(入れ歯)、ブリッジなどで補いましょう。